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Orchestral Works #1・わらべうたによる3 つのパラフレーズ

Three Paraphrases based on Children's Song of Japan
作曲:田廻弘志(たまわりひろし)
iTunes楽曲販売ページはこちら(試聴可能)


<原曲について>
3つの楽章からなる組曲で、各楽章はそれぞれ、「たけのこいっぽん」、「とうりゃんせ」、「らかんさん」の旋律をモチーフにしています。歌詞にはさまざまなバリエーションがありますが、概ね、次のような歌詞で歌われます。いずれも複数人で遊ぶ、遊び歌です。

Ⅰ たけのこいっぽん Takenoko-Ippon
〽 たけのこ一本お呉れ まだ芽が出ないよ
たけのこ一本お呉れ もう芽が出たよ

Ⅱ とおりゃんせ Toryanse
〽 通りゃんせ 通りゃんせ
ここはどこの細道じゃ 天神さまの細道じゃ
ちっと通して下しゃんせ 御用のないもの通しゃせぬ
この子の七つのお祝いにお札を納めに参ります
 行きはよいよい帰りはこわい こわいながらも通りゃんせ 通りゃんせ

Ⅲ らかんさん Rakan-san
〽 羅漢さんが揃ったら回そじゃないか
ヨイヤサノヨイヤサ ヨイヤサノヨイヤサ

「羅漢さん」という部分は少し説明が要るかもしれません。「羅漢」は仏教用語で「尊敬に受けるに値する者」を意味するサンスクリット語の音訳である「阿羅漢(あらかん)」を略した言い回しです。わらべうたにそのような難解な仏教用語が入り込むのは不思議な感じもしますが、おそらくここでいう羅漢とは、仏像として作られ奉じられている羅漢像、とりわけ五百羅漢像のことなのではないでしょうか。五百羅漢とは、シッダールタ(釈迦)に生涯付き添った弟子たちのことを指し、後世には五百羅漢それ自体を奉じるようになります。五百羅漢像は、いろいろな姿の像をたくさん並べたもので、庶民的な親しみやすい姿かたちをしています。この歌の一般的な遊びかたは、「羅漢さんが揃ったら回そじゃないか」で各自が好きなポーズをとり、「ヨイヤサノヨイヤサ」の掛け声とともに各人が各人の隣の人のポーズを真似ていくというものです。

ただし、私がこの曲を作った当時は、「らかんさん」は「落下傘の親戚か?」ぐらいの認識しかありませんでしたが。


<楽曲について>
この曲もまた習作なのですけれど、これはほんとうの意味での習作で、10 代の頃に作ったピアノ曲が元になっています。ピアノ曲とはいえ、自分はピアノが弾けないので、YAMAHA 社のQX3 というハードウェアのシーケンサーを使って作曲していたような気がします。

この曲には、ところどころ不協和音が入り交じりますが、習作がゆえに、やたらと丁寧に和音を探し当てていたようで、楽譜を見直してみても、「こういう和声は今は思いつかない」という箇所が何箇所もあります。今いちど、そのような(知らないがゆえの)自由さを振り返ろうという思いから、オーケストラ編成に編み直したのがこの楽曲になります。

日本の作曲家、別宮貞雄のピアノ曲に、「南日本民謡による三つのパラフレーズ」という曲がありまして、そういう曲を作ってみたいと思って作った曲だったと思います。クラシック音楽における「パラフレーズ」とは、原曲を編曲とか変奏という以上に改変していくスタイルの曲のことです。

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