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08 寿限無

詞:古典落語
曲:tamachang [SF-A2 開発コード miki V4, 結月ゆかりV4(純)& Vocoder]

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歌詞


じゅげむ じゅげむ ごこうのすりきれ
かいじゃりすいぎょの すいぎょうまつ うんらいまつ ふうらいまつ
くうねるところにすむところ やぶらこうじのぶらこうじ
ぱいぽ ぱいぽ ぱいぽのしゅーりんがん しゅーりんがんのぐーりんだい
ぐーりんだいの ぽんぽこぴーの ぽんぽこなーのちょうきゅうめいのちょうすけ
寿限無 寿限無 五劫の擦り切れ
海砂利水魚の水行末 雲来末 風来末
食う寝る処に住む処 藪ら柑子の藪柑子
パイポパイポ パイポのシューリンガン シューリンガンのグーリンダイ
グーリンダイのポンポコピーのポンポコナーの長久命の長助

詞について

古典落語の演目に「寿限無」という噺があります。息子がいつまでも元気で長生きするようにと、とにかく縁起のよいものの名前を次から次へと繋げ、とてつもなく長い名前をつけてしまったという笑い話です。この楽曲の歌詞はその「寿限無」に登場する子供の名前です。

「寿(ことぶき)限り無し」を意味する「寿限無」に始まり、仏教に由来する長い時間を表す「五劫」や、たくさんの数を表す「海砂利水魚」といった縁起のよさそうな言葉が続きます。けれど、後半になるにつれ、段々とよくわからない言葉になっていきます。

特に後半の「パイポ」以降は、とてもユーモラスで印象的な音韻ですが、これらのカタカナの部分は中国にかつてあったとされるパイポ王国の歴代の王の名前です。いずれの王もとても長生きしたので、その王たちにあやかろうということなのですが、そもそも、そのパイポ王国の存在自体が架空のデタラメのお話です。

というわけで、この歌詞にはあまり意味はありません。

楽曲について

歌詞を考えるのが面倒だったので、なんとなく寿限無に節をつけたというのが本当のところなのですけれど、音楽として面白くなるように実験的な試みをしています。

テクノ音楽ではあるのですけれど、その旋律は日本の律旋法で組み立てています。音階に3度音程が存在しないので、その和声もまた3度音程は限定的にしか登場しません。なので、一般的なポップソングとは異なる和声の組み立てになっています。

その歌声は、ボーカロイドのピッチスナップモード(ピッチの滑らかな移行をしないモード)という機能を使い、わざと機械的な歌声になるようにしています。歌いながら極端に声色を変化させたり、人間には歌えないような高速の歌詞を歌わせています。また、息継ぎのできる部分もあえて作っていません。

合唱のパートは、ボーカロイドの歌唱は1声のみで、その他の和声はボコーダーで生成しています。ボーカロイドとボコーダーの組み合わせは、あまり試したことがなかったのですけれど、極めて相性がいいように思います。通常、ボコーダーは実際の人間の声を使ってシンセサイザーの音に変調をかけますが、そこがボーカロイドの声に置き換わると、よりいっそう機械的な歌声になるのです。

人間が発話するときにはどうしてもタイミングに揺らぎが生じたり、完全に同じ発話を繰り返すことはできません。ボコーダーを機械のように歌わせるには、変調源となる人間の声もまた、機械のように精確に発話しなければならないのです。ボーカロイドは常に精確に歌うので、機械的な歌唱を作るには適している気がします。ボーカロイドの歌声をボコーダーに使うことは、かなり探りがいのあることなのかもしれません。

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