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01 トホカミエミタメ

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詞:神道祭文による 曲:tamachang [結月ゆかりV4(純・凛・穏)]


歌詞

吐普加美依身多女(トホカミエミタメ)

詞について

有史以前の時代から伝わるとされる神道の祭文。古代には、鹿の骨を焼き、その骨に生じるひび割れの形によって吉凶を占う太占(ふとまに)という占いがあったのですが、一説に、その太占を行うときに、この祭文が唱えられていたとする説もあります。「魏 志倭人伝」に伝わる卑弥呼(ひみこ)も、この祭文を唱えていたのかもしれません。現代においても、この祭文は生きた形で伝えられており、神道における祝詞や各地の祭りの中でしばしば唱えられているようです。

「吐普加美依身多女」は万葉仮名による当て字で、漢字には意味はありません。祭文の意味については、日本において文字が使用され始める平安期には、すでによくわからなくなっていて、一種の呪文として伝わっていたようです。「遠くの神 笑み給(たま)え」の意とする説などがありますが、それ以外にも諸説が入り乱れており、どうにも本来の意味はわからないものであるようなのです。

楽曲について

この楽曲の企図は、その「呪文」を、キリスト教音楽の修辞法によって再構築することにあります。

キリスト教音楽においては、3拍子は、2拍子(日常的な歩行のリズム)よりも特殊であり、神聖であると考えています。だから、キリスト教音楽の多くは、3拍子で書かれています。それにならい、楽曲の拍子を3拍子に置くことにしました。それにより、こ の祭文の音韻が持つ「4拍+4拍」というリズムはあえて崩されています。日本語としては不自然ですが、たしかに神秘的なリズムになっているとも言えなくもありません。また、キリスト教音楽の基本的な構造となる4声による重唱、カノン形式、多声部から なる対位法的な組み立て、3度音程を重ねていく西洋的な和声も、キリスト教音楽の様式にならっています。

けれど、それだけではまったくのキリスト教音楽になってしまうので、その旋律には日本の伝統的な5音音階、それも音階の内部に3度音程の存在しない律旋法(りつせんぽう)を当てました。主旋律が律旋法をとるということは、3度音程の和声は限定的にし か使えません。そのことが全体に影響し、キリスト教音楽の響きとは異なる響きを形成します。もちろん、この響きは日本の伝統音楽の響きとも異なる、異質な響きです。

この楽曲は、このアルバム全体の前奏曲という位置づけです。

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