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06 贋作秋葉原密真言

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詞・曲:tamachang [結月ゆかりV4(凛)&Vocoder]


歌詞

唵 毘羅毘羅験 毘羅祇餓験 憧諦憩 婆侭寧 娑婆訶
(オン ビラビラケン ビラギガケン ドウテイケ バジンネイ ソワカ)

波羅毘羅 憧諦 飫憩 波羅毘羅 婆侭 飫憩 波羅 波羅
(パラビラ ドウテイ ヲケ パラビラ バジン ヲケ パラ パラ)

憧諦 飫憩 婆侭 飫憩 験解 毘羅毘羅飫憩
(ドウテイ ヲケ バジン ヲケ ケンゲ ビラビラ ヲケ)

詞について

古くから伝わる真言のような文言ですが、この祭文はまったくのデタラメで、作曲者がその霊感により、直接にその脳内から発掘し、感得されたものでしかありません。神や仏にはまったく興味のない、完全に無宗教である人向けにでっち上げられた、まったく意味のない文言です。

オン

真言などの祭文の中によく含まれる「オン(omあるいはaum)」という音韻は、仏教を含むインドの諸宗教においては、特別な音韻として神聖視されています。その発音が、口を開けた状態から、口を閉じた状態へと移行するので、すべての音韻がその中に含まれるとし、すべてのコトバの象徴としてみなされているのです。つまり、「オン」は、言葉や世界のすべてを、また、世界の始まりと終わりを象徴する、とインドでは考えられています。

「阿吽(あうん)の呼吸」という慣用句がありますが、その「阿吽」は、この「オン」に由来しています。寺院の山門などに配置される1対の仁王像や、神社の参道に配置される1対の狛犬(こまいぬ)の像の口は、どちらか一方の像が開いており、もう一方の像は閉じています。開いた口の形を「阿形(あぎょう)」、閉じた口の形を「吽形(うんぎょう)」と呼び、その1対で「阿吽=オン」を示しているのです。

転じて、常に対となっている仁王像や狛犬像のように「互いの気持ちがうまくかみ合っている」というさまを「阿吽の呼吸」と言うようになったのです。

秋葉権現真言

神道と仏教と山岳信仰が混交した信仰に、修験道というものがあります。修験道はおそらく、道教に由来する陰陽道や神仙信仰(仙人への信仰)をも混交しており、おおむね、道教における仙人に相当する「天狗(てんぐ)」を信仰します。そのような修験道の一派に、秋葉権現(あきはごんげん)というものがあります。

天狗信仰のはじまりは、どうにもよくわからないようです。赤い顔をして鼻が高いタイプの天狗の原型は、日本神話の伝える猿田彦(アマテラスの孫を地上へと案内した地上の神、一説に地上における太陽神)の姿と重なるらしい。口がクチバシの形となる烏天狗のタイプは、インド由来の鳥の神である迦楼羅(カルラ)天に由来するらしい。いずれの天狗も、高下駄を履き、背中に羽が生えていて、空中を自在に飛べる神通力を操るとされています。

秋葉権現には、火事を防ぐ霊力があると信じられ、大火が頻発した江戸の町においても広く信仰されました。現代においても、東京には、秋葉権現が祀られている場所があり、それは地名にもなっています。けれども、現代にあっては、秋葉権現とはまた別の、さまざまな神々の祀られる「聖地」になっているようです。

本家の秋葉権現の真言は、次のようなものです。「オン ヒラヒラ ケン ヒラケンノウ ソワカ」。この楽曲の文言と、秋葉権現の真言との類似性は、誰もが否めないところでしょう。「パクったのですよね?」と問われたら、言い逃れはできないでしょう。しかし、「ヒラヒラ」は「ビラビラ」となり、あるいは「ギガ(おそらくは単位としてのギガ?)」というふうに書き換えられいます。

よくわからないのが、「ドウテイ」「バジン」といった文言です。これらの謎の文言はおそらく、現代の新しい神々を奉じるための文言なのではないかと推察されます。

楽曲について

キン(仏教で使用される鐘)や木魚など、一般的な仏教の読経の響きに似せてはありますが、それは単なるまやかしに過ぎません。なぜなら、この経文は、まったくのデタラメだからです。

この楽曲の本来の企図は、ボーカロイドの低音域への大胆な拡張であり、歌詞を伴うベースが果たして可能なのか、という企ての中にあります。シンセベースなどの専らベースを担当する楽器の音なしに、ボーカロイドの声だけで、その上部にあるすべての音を支えきれるかを実験しているのです。確かに、低音域においては、歌詞が若干、聴き取りづらいということは否めません。けれども、この実験はおおむね成功したように思います。

思うに、高音域への声部の拡張には、限界があるのです。母音を決定するとされる第1、第2フォルマントの周波数は、おおむね、500Hz~3kHzの間とされています。そのとき、440Hzがト音記号における加線なしの「ラ」。その1オクターブ上の「ラ」は、440×2=880Hz。さらに1オクターブ上となると、880×2=1760Hz、となります。つまり、それらの周波数が基音となる高音域においては、フォルマントをうまく構成できないのです。なので、母音の発音は常に曖昧なものとなります。けれども、低音域への拡張には、そのような弊害は生じません。Electronic Dance Musicにおけるワブル・ベースやVowel(母音)ベースがそうであるように、声のようなベース音は理論上可能なのです。

また、リアルの人声にあっては、低域を担当するのは常に男声になるのですけれど、女声が低域を担当するというのは、ちょっと面白い。これは極めて特異な音響で、とにかく面白い。

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